弦を張るときに、ねじった方が良い?

お客様が組み立てたクロスボウを拝見させていただいた際に異様に弦をねじって取り付けている物があります。
個々の考えがあるため余計な指摘はしませんが、とにかくねじった方がよいと勘違いされている方もいらっしゃるようです。
これはおそらくスポーツアーチェリーなどをしている方がねじりをいれて弦を組むためだと思いますが、クロスボウも一概に同じとは言えません。
アーチェリーとは弦の長さが全く異なりますし、アーチェリーの弦はもともとねじった上での長さで適合するように設計されています。
クロスボウではむしろねじりすぎにより弦が切れやすくなることもあります。
各メーカーの組立済みクロスボウ(新品)を実際に見てみると・・・
PerfectLine → ほぼねじりなし
ManKung → ほぼねじりなし
テンポイント → 若干のねじりあり
バーネット → 若干のねじりあり ※機種によってはほとんど無し
以上のように、メーカーからの出荷時から大きくねじりを入れているものはありません。
↓画像を押すと拡大します。

結論

全くねじりを入れないより多少入れたほうが弦のかかる負担が分散されよいと思いますが、150ポンドクロスボウで耐久性を見たところ全くねじっていないものより多くねじったものの方が早く切れてしまいました。もちろん弦の個々の耐久性品質のバラツキが考えられますので何十回も試さなくては分らない部分もありますが、ねじりすぎは弦が短くなり弦自体に大きな負担がかかり寿命を縮める可能性があることは間違いなさそうです。

目安

50・80ポンドで最大6回程度(右側3回、左側3回)。
150ポンドクラスの長い弦でも最大10回程度(右側5回、左側5回)にとどめておいた方がよいかもしれません。

弦を一人で張るには(裏技編)

クロスボウの組立またはメンテナンスで一番苦労するのが弦を張る作業です。

本ページ記載の組立方法について

ここでは通常、一人ではなかなか難しい弦をはる作業を短時間で行う裏技を紹介します。
ただし、本来の方法ではありませんので行い方によっては弦や弓を破損する可能性も十分考えられます。
そのため、自己責任での作業でお願い致します。
コツを掴むことで、破損する可能性はほぼありません。また弦の脱着が簡単にできます。

同様に両弓を荷締めベルトで締める方法もありますが、それよりも手軽で早く片弓を自重で曲げるので弦の取り付け具合を調整しながらできます。

注意事項

通常は、弓を両方均一に曲げながら弦をかけますがこの方法は片側ずつ曲げます。したがって限度が分らず必要以上に曲げると弓が折れます。慣れるまでは十分な注意が必要です。
1、本体がアルミのクロスボウでのみ行えます。プラスチックのクロスボウは本体が曲がりますので行わないでください。
2、弦を強い力で弓を固定しますので使用する道具によっては危険な場合があります。
3、弓を強く曲げすぎると破損する可能性があります。少しずつ曲げながら最小限で試してください。
4、通常の組立方法より手軽で簡単に一人でできますが、破損のリスクも大きくないまります。そこは肝に命じて自己責任でお願い致します。
5、ラジェット式の荷締めベルトが1本必要です(100円ショップで取り扱っている商品でもご利用できます)

組立手順

1.付属の説明書などを参考にして、弓の取り付けまでを行います。
弓を取り付けたクロスボウの片弓に荷締めベルトをつけてストックの後ろを通し反対側に固定し少しずつ弓を曲げていきます。
曲げすぎると弓が折れます!ご注意ください!
2.弦を引っ張るとこの位置くらいに来るまで弓を曲げます。
これ以上片弓だけ曲げるのは危険です。また、弓をかけているベルト(ここでは黒い紐をつけていますが)の中を通して弦を持ってきます。これを通さないと後でベルトが抜けません。注意が必要です!
3.弦を通したままクロスボウを持ち、荷締めベルトで締めている方と反対側の弓を床に押し付けます。
床が滑りやすい場合はゴムパットを敷くなどすべりにくい対策をしてください。また床に強い力で押し付けますので床に傷や凹みが出来る可能性がありますので注意してください。反対側の弓に体重をかけながら少しずつ曲げていきます。
4.弦が届いたら反対側の弓にかけます。
そしてゆっくり体重をかけている弓を戻していきます。これでもう弦はかかりました。
5.弦を通しているのでベルトを外したらこれを抜くだけです。


6.完成です!

アメリカテンポイント社製「NITRO X」のボウユニットを外してみた

一般的なコンパウンドクロスボウは、使用する前にボウユニットとクロスボウ本体を組み立てる必要があるのですが、
2018年モデルのアメリカテンポイント社製「NITRO X」(CB18005-3813)は、ほとんど組み立てられた状態でパッケージ箱に入っております。
メンテナンスする際に、基本的にはボウユニットを外すこともあり、どのようにして外れるかを試してみました!
※ご自身でされる場合は、自己責任となりますので、予めご了承ください。

使用した工具

・六角レンチ(5/32)
・トルクス(T25)※いじり止めなし

さっそく外してみました

いきなり結果ですが、ボウユニットを外すとこんな感じになります。
ボウユニットを取り外すと、引き金や安全装置まで、まとめて外れました。
その際、六角ネジ×6本と、トルクスネジ×1本を取り外しました。

ネジを外した箇所(その1)

ボウユニット側で外した箇所です。
安全装置側にトルクスネジがあり、その他は六角でした。
※赤線で囲んだ部分

ネジを外した箇所(その2)

クロスボウ本体側で外した箇所です。
※赤線で囲んだ部分

弦を一人で張るには(ベルト編)

一般的な方法ではないですが、一人で弦を貼る事ができます。

リカーブフルサイズクロスボウの場合

リカーブフルサイズクロスボウの組み立ては単純ですが、唯一弦を弓にかける作業が非常に苦労します。
ベルトを外す際に怪我をしないように十分注意してください。
リムの両端にベルトをかけてストックへ写真のように回して締め上げていきます。
そのまま締め上げると片弓に負担が大きくなりますのでベルトずらしながら少しずつ締めていきます。
写真ではフックをそのままかけていますが、できればリムに傷がつかないようにベルトを回したり、クッション性の良いものをはさみこむようにしてください。
あとは弦が届くまで締めてから弦を取り付けて外せば完成です。

ピストルクロスボウの場合

ピストルクロスボウも補助弦がないため同様の方法で取り付け可能です。
写真は「ManKung社製 ピストルクロスボー80A4AL 80ポンド コッキング 160FPS
そのままではベルトが長すぎるためリムに巻きつけています。
外したときにちゃんとベルトが取れるように考えてセットしないと後で泣きます。
少し締め付ければほら!もう弦が届きます。
ベルトもちゃんと取れました。

弦を一人で張るには(補助弦編)

リカーブフルサイズクロスボウの組み立ては非常に単純ですが、唯一弦を弓にかける作業が非常に苦労します。
※リカーブクロスボウは、弓に滑車がないタイプです。
その際に、便利が良いアイテムが「組立メンテナンス補助弦」です。
ここではその補助をして一人でも弓に弦をかける事ができるメンテナンス補助弦について紹介します。
下の画像をクリックすると拡大します。

ドローウェイトのポンド数は、何kg(キログラム)?

クロスボウのドローウェイト(弦を引く重さ)はポンド表記がされています。
いったいどのくらいの重さがあるのか日本人にはなじみが薄いです。
クロスボウに使われているポンドをキログラムに換算してみました。
ご参考になさってください。
50ポンド → 約22.6kg

80ポンド → 約36.2kg

120ポンド → 約54.4kg

130ポンド → 約58.9kg

150ポンド → 約68kg

175ポンド → 約79.3kg

180ポンド → 約81.6kg

185ポンド → 約83.9kg

200ポンド → 約90.7kg

225ポンド → 約102.6kg

一般的によく出ている150ポンドでも約68kgの力で弦を引くことになります。
したがって成人男性でも引けない方がいらっしゃいます。
力に自信が無い方はコッキング紐をご使用ください。

クロスボウのメンテナンスに使用する潤滑剤

クロスボウのメンテナンス箇所は

・各ボルト類の締め付け
・コンパウンド仕様の場合は滑車
・トリガーとその内部
・レール
・弦、ケーブル

その他

・防錆のため金属部分すべて
上記の部分に行いますが、この際に防錆、潤滑のため潤滑剤の利用を行います。

潤滑剤について

潤滑剤といえばクレ5-56などが思い浮かびますが、クロスボウはシリコンスプレーを使用するのが良いとされています。
シリコンスプレーは各メーカーからさまざまなものが出ていますのですぐに見つかるはずです。

弦とレールのメンテナンス

弦、レールについては、ワックスです。

クロスボウをコッキングする際、なぜか弦がかからない

組み立てたけど弦を思いっきり引いても弦が最後まで行かない・・・
購入時そういった経験をしたことがある人は多いと思います。

これって、どんな状態?

力がないだけで引けないこともありますが、よく見ると写真の部分がこのような形状になっていることがあります。

(画像をクリックすると拡大します)
これをみて不良品????と思う人はなかなか鋭いですが実はそうではありません。
購入時初回や発射後に写真のような状態になることがあります。
このままでも引けますが、この状態ですとかなり固くなっているので引くのが大変な場合があります。

対処方法

購入時初回一回は行った方が良い方法です。
柄の細いドライバーなど固く細い棒状のものを準備します。
これを写真のように隙間に入れます。

(画像をクリックすると拡大します)
トリガーのロックである、
「安全装置」を「解除」にしてドライバーを上に引き上げます。
※通常は安全装置を「前(FIRE)」にすると解除になります
※2014年より安全装置を解除しなくてもコッキングできる機種が出てきています(最下部参照)
カチャンとドライバーが通過すれば終わりです。

弦が通過するのが楽になります。

機種によっては

「安全装置を解除してからコッキングする」事が主流でしたが、2014年あたりから「安全装置の解除をせずにコッキングできる機種」が出てきています。
PL(PerfectLine、PoeLang)社製のジャガークロスボウが徐々に「安全装置の位置に関係なくコッキングできる」タイプになっているようです。
このタイプの場合、弦をコッキングする前には「安全装置自体が動かない」です。
※コッキング前にはトリガーが引ける(将来仕様変更になる場合があります)
弦が正常にコッキングされれば自動的に安全装置がロックされます。
※安全装置がロックされるとトリガーは動きません
※矢を装着せずに発射行為をする「空撃ち」は絶対になさらないでください
2014年時点ではまだまだ「安全装置を解除してからコッキング」するタイプが多くありますが、新タイプのような場合もありますので、弦のコッキング前に安全装置が動かないと慌てる必要はございません。

ピストルクロスボウの誤射防止テクニック

ピストルクロスボウ全般に言えることですが、特に50A1、80A1は組立のバランスで誤射しやすくなる傾向があります。
本体の構造上、ちょっとしたはずみで弦が移動してしまい発射状態になることがあります。
このような症状を防ぐには、製品をちょっと加工することで症状が出にくくなります。
※加工については、自己責任になりますので予めご了承ください。
80A1を例にし、ご説明いたします。
ちなみにピストルクロスボウ全般で方法は、ほぼ同じです。

加工する部分はココ


見ての通りちょっとしたはずみで誤射しそうで不安になります。

加工に使用する工具は?


身近にある100円ショップの商品です。
単なるヤスリです。太すぎるのは使えません。
適当な大きさのものを選びましょう。

傷防止の為バラしてみました


・・・が、意外とバラさなくてもできそうです。

加工実施!


周りの部品を傷つけないようにゆっくり削ります。
アルミ製のピストルクロスボウでも比較的簡単に削れます。
ちなみに、一度ばらしましたがバネ等の部品が飛ばないように!
※カバーは元に戻して作業した方が良いです。

出来上がり!


写真では分りにくいですが、若干のくぼみが出来ています。
つける過ぎるとトリガーが重くなります。
トリガーを重くしたい方にも有効な加工です。

クロスボウを始めるにあたって、最低限必要なものは?

クロスボウの疑問

クロスボウを始めるにあたりどのようなものが必要なのか、また同時に買ったほうが良いものを最低限で書いてみたいと思います。
初心者で始めてクロスボウを購入されることが前提になります。

1.クロスボウの所持許可証

クロスボウ所持許可証
2022年3月15日に銃刀法改正が施行されたことにより、クロスボウの所持が許可制になりました。
それに伴い、弊社ではクロスボウ本体、クロスボウ用品全般を購入する際に、許可証(原本)の確認を行っております。
クロスボウの所持許可証については、住所地を管轄する都道府県公安委員会にてお手続きが必要となりますので、詳しくは住所地を管轄する警察署へ御相談ください。

2.本体


クロスボウの所持許可証が取得できましたら、クロスボウ本体の購入が可能になります。
クロスボウの選び方ですが、よほどこだわりが無い限り150ポンド以下のリカーブタイプを選ぶと良いと思います。
150ポンドでもびっくりするくらい威力があります。初めての方は120、130ポンドでも十分楽しめると思われます。
また、コンパウンドタイプについて、組立は楽ですが、メンテンスが大変です。
初めてクロスボウを扱うと、購入後すぐに弦などを切ってしまう場合があります。
弦は消耗品なので、交換すると再びクロスボウを楽しむことができますが、 高い機種になるほど、消耗品も高くなる傾向がありますので、1台目はリカーブタイプが無難です。
また、テンポイントやバーネットなどの機種については、消耗品が手に入りにくいリスクもあります。

3.替え弦


弦は本体に付属していますが、いずれ切れます!
クロスボウはアーチェリーと異なり威力も高く台座をこすりながら発射します。
したがって寿命は短いです。
かならず予備を!

※クロスボウの機種によっては、メーカーから取り寄せできない替え弦も存在します。
※もし、商品ページにない替え弦がご希望の場合は、当店で作成できる場合もあります。お気軽にお問い合せください。

4.矢


当店では、フルサイズクロスボウ用矢で主に14インチ、16インチ、20インチのサイズがございます。
矢の選び方は、クロスボウに同梱されている矢の同サイズ、もしくはそれ以上のサイズがいいかと思います。
※矢の選び方の詳細はコチラ

もし、矢が同梱されていない機種だった場合は、下記の内容を目安にしてください。
120ポンド → 14インチ
150ポンド → 16インチ
185ポンド → 20インチ
他の大きさのものが使えないという意味ではありません。
クロスボウは短い矢を使用すると負荷が少なくなり弦や弓に大きな負担がかかりますので寿命を縮める原因になります。
※テンポイントやバーネットの機種は、18インチ以上のサイズが無難です。

5.弦ワックス


先程もご説明したように、弦は消耗品なので切れます。
でも、少しでも寿命を延ばしたいですよね?
メンテンスすれば伸びます。その差は、約2倍!!(断言はできませんが、何もしないよりは伸びます)
弦ワックスについてはコチラでも記載しています。

◯商品の詳細はコチラ

6.メンテナンス補助弦


弦を交換するときなどのメンテナンスに!

このアイテムが無いと弦の張替えが苦労しますよ。(リカーブタイプのみ)
◯商品の詳細はコチラ

7.コッキング紐


力に自信が無い方や、クロスボウを長く楽しみたい方は必須アイテム!

150ポンドクラスでも、素手でのコッキングは非常に苦労します。
成人男性でも引けない方がいます。そのくらいの重さです。
となると、たとえ引けたとしてもコッキングは大仕事です。
その仕事を楽にしてくれるアイテムがこれ!
コッキング紐でコッキングすると約半分の力でコッキングができます。使えば明らかです!
◯商品の詳細はコチラ

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